『この子、無事に生まれてきてくれて本当にありがとう』
出産を終えた今、心からそう思います。
でも実は、「ヘルプ症候群」というとても危険な状態になりかけて、緊急で帝王切開を受けることになりました。
これは、そんな私の「命がけの出産」の記録です。
肝臓の働きが悪くなったり、血が固まりにくくなったりする病気です。
お母さんと赤ちゃん、両方に危険が及ぶことがあるため、早めの発見と適切な対応がとても大切です。
体調に変化を感じたら、遠慮せずすぐに病院に相談しましょう。
陣痛を待つ日々。早く会いたくて
私はもともと、病院に行くと緊張して血圧が上がりやすい「白衣高血圧」タイプ。
妊娠初期から自宅で血圧を測るよう、医師に言われていました。
そして臨月。
「早く我が子に会いたい!」その気持ちが日に日に強くなっていって、毎日1日1万歩歩くことを目標に過ごしていました。
息苦しさや、生理痛のようなお腹の痛みもあって、
「これはきっと前駆陣痛だ!もうすぐかな…?」とワクワクするような、ソワソワするような気持ちで過ごしていました。
38週の健診では「子宮口は指一本分」と言われて、「じゃあまだ時間かかるのかな…」と焦る気持ちも出てきて。
不安と期待が入り混じったような、なんとも落ち着かない毎日でした。
息苦しさと痛みの朝。これはちょっと変かもしれない
ある朝、いつもよりもずっと強く息苦しさを感じて、心臓もズキズキ痛み始めて。
「寝れば良くなるかも」と午前中は横になって様子を見てたんだけど、全然良くならない…。
むしろ吐いてしまって、体がどんどんおかしくなっていくのがわかって。
「血圧測ってみよう」と思って測ったら、なんと160~170台。
これはおかしい…と、やっと危機感を持って、旦那に連絡しました。
するとすぐ「病院に連絡しよう!」と仕事を抜けて駆けつけてくれて、私もようやく病院に電話。
「すぐ来てください、もしくは救急車でも」と言われ、すぐに病院へ向かいました。
検査の嵐。そして下された決断
病院に着いてすぐ、NST・血液検査・尿検査・心電図など、たくさんの検査が始まりました。
検査結果が出るまでの間、先生からは
「このまま陣痛を誘発して出産するか、もし状態が悪くなれば帝王切開に切り替える」と説明が。
でも、その説明を受けた直後、
また急に息ができないほど心臓が痛くなって、血圧も急上昇してしまって…
「このまま夜、人手が少なくなる時間に状態が悪化すると危険です」
そう判断されて、「今すぐ帝王切開にしましょう」と決まりました。
緊急帝王切開。そして我が子との対面
そこからは本当にバタバタで、あっという間に手術の準備が進み、気づけば手術室。
無事に我が子の産声を聞いたとき、「あぁ、やっと会えた…生きてる…」と胸がいっぱいになりました。
実際、私の体は肝臓の数値が異常なほど高く、血小板は一桁にまで下がっていて…。
「もう少し遅れていたら、あなたも赤ちゃんも危なかった」と、先生に言われました。
帝王切開で出てきてくれた我が子は、なかなか出てこようとせず、お腹をぐっと押してやっと出てきたそうです。
「まだお腹の中でぬくぬくしていたかったのかも…」
そう思うと、少し罪悪感があって、「ごめんね」って心の中で何度も謝りました。
入院中は、そんな気持ちや、なかなか回復しない自分の体への焦りで、自分を責めることもありました。
でも、旦那や母、助産師さん、病院の先生たちがたくさん支えてくれて、無事に予定通り、我が子と一緒に退院できました。
出産のかたちは、それぞれの「立派な奇跡」
今、私は思います。
「我が子と自分の命を守るための出産」なら、どんな形だって立派だってこと。
「妊娠・出産は奇跡」
この言葉の意味を、私は今回の経験を通して本当に実感しました。
予定通りじゃなかった。
想像してた出産とはちょっと違った。
でも今、元気に泣いて、毎日すくすく育っている我が子がいてくれる。
それが、何よりの答えだと私は思います。
そして、私と同じように思いがけないかたちで出産を迎えて、いろんな葛藤や罪悪感を抱えている人には、心からこう伝えたい。
『あなたは何も悪くないよ』って。
最後に
妊娠出産はいくら心構えを万全にしていたつもりでも、予期せぬ事態や経験してみて初めて抱く感情など、ジェットコースターのように日々進んでいきます。
もちろん、想像していたより楽しいことや嬉しいこと、幸せなことも多いと思います。
ですがこの記事が、不安を抱えている、悲しみが押し寄せてくる、そんな誰かの心に少しでも寄り添えたらうれしいです。
私はこれからも、この小さな命にたっぷりの愛を注いで、生きていきます。
